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"Modesty, Fairness, and Grace" by TAKARAZUKA REVUE

宙組公演『Le Grand Escalier -ル・グラン・エスカリエ-』

大劇場公演を数回観劇。幕開き、大階段にトリコロール。真ん中に輝くキキちゃん(芹香斗亜さん)。トリコロールの布が左右へはけると、下から登場したのは同じくトリコロールカラーに色分けされた男役さんたち。「そうだと思った!」な演出だけど、「わぁ!」って心が高まる、とても美しい光景から始まる今作品。宝塚の名曲の数々で繋がっていくのだけど、それぞれ名曲だけあって初めて聴く人にも印象に残る、楽しめるものばかりだし、場面ごとの展開もわかりやすくて華やかで良い作品だった。


久しぶりに見た舞台上の宙組さんに対しての第一印象は、みんな舞台化粧が進化してる!…でした。上級生も、男役も娘役も、なんだか今までと雰囲気が違って見える。まだまだこれからの下級生たちも、とっても綺麗になっていてびっくりした。そして通常だとソロで歌うことはないであろう生徒さんにも見せ場が与えられていて、どの生徒さんも魅力的だし、歌が上手い。宙組自体が止まっている間も、皆、努力や研究することを止めていなかったんだな…と思うと、ちょっとこみ上げてくるものがありました。


全体を通して印象的だったのは、さくらちゃん(春乃さくらさん)。
トップ娘役としての輝きや存在感が一気に増していて、歌が素晴らしいのは元々わかっていたけどさらに磨きがかかっていて、何より、表情がとても豊かで、特に幸せそうな笑顔を見るとこちらまで笑顔になってしまう魅力があった。上級生のキキちゃんとも打ち解けてきたのかな?例えばプレお披露目の時のような硬さはなくなっていて、一緒に歌い踊ることを楽しんでらっしゃる感じがしました。あとは輪っかのドレスさばき。上半身をブラさずに立ち振る舞うのが難しいと聞くけれど、とても優雅に銀橋を渡り美声を聞かせてらっしゃって、頼もしい相手役さんだなぁと改めて思いました。


そしてずんちゃん(桜木みなとさん)。
なんだか、随分穏やかな表情になったなぁという印象。落ち着きが出て、良い意味で変なギラギラ感がなくなったというか、大人になったというか…。もともとの抜群の安定感に、そういう安心感?包み込むようなあたたかい魅力が加わってさらに素敵になりましたね。トップさんを支え、さらに下級生との橋渡し役もしっかりと担ってる、頼もしい二番手さんと感じる。キキちゃんや宙組生も、そんなずんちゃんに随分助けられているんじゃなかろうか。勝手な想像だけれども。


キキちゃんは、二番手の頃からスターオーラのある方だったけど、それが増した感じがした。真ん中に立つにふさわしい、立派な九代目宙組トップスターだと思った。だからこそ厳しくストイックかつ繊細すぎる面があり、それが「近寄りがたい」「怖い」と思われるかもしれない。どうしたって色々思われてしまう。何をしたって非難は避けられない。でも、公演を待つファンのため、宙組を繋ぐため、ご家族やファンなど自分を思う人たちのため、そして自分自身のため…様々な思いや意見は「組の顔」として真摯に受け止め、舞台に立ち続けることを選んだ覚悟のようなものを感じた。


…と書くと、憤る方々もたくさんいるだろう。自分の感想や感じたことを素直に綴るためのブログだけど、書くのをさすがに迷った。「客席の大きな拍手に虫唾が走った」という感想を目にしたこともある。心の片隅で「…じゃあなぜわざわざチケットを取り劇場へ行ったのだろう」と思わなくもないけれど、宙組を受け入れられなくなった宝塚ファンたちの思いや考えは否定できない。でも私は、重く忘れることはできない出来事を当事者の一人として経験し、それぞれなりになんとか気持ちを整理して(まだしきれていない生徒もたくさんいるだろうけど)、止まってる間も努力を惜しまず過ごし、想像以上の不安や恐怖もあるだろう中で舞台に立った宙組生(もちろん他組の方たちも)一人一人に拍手を送りたいと思ったし、宙組が(これももちろん他紙も)これからもより良くなっていくことを願っているし、公演はとても素晴らしく、楽しかったです。

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