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"Modesty, Fairness, and Grace" by TAKARAZUKA REVUE

星組『ディミトリ〜曙光に散る、紫の花〜』

みなさんおっしゃるように、お芝居の感動がショーでぶっ飛ばされてしまうので、一回観ただけだと記憶があやふやなんだけど。

 

物乞いみきちぐさんの存在感があるのにない感じが気味悪くて、美しきリラの精たち(歌声がとても心地よい)との対比が強烈な印象を与える。
新公の鳳真君は実際に背が高い方なので、登場すると毎回「うわっ!」てびっくりする不気味さだったんだけど、みきちぐさんのジトっとした不気味さは、良い意味でなんか不快感みたいなものを与える。


主役のディミトリとルスダンは、王配・女王となり、父母となっていく様が素敵でした。なんだか新鮮…夫であり父親であるこっちゃん。しかもほとばしる王配感(王配感?)にびっくりする。王ではなく王配、女王を支える夫。この微妙な立場をトップスターがサラッと感じさせてしまうのは、一体何をコントロールなさっているんだろう?オーラ?存在感?


それにしても新公の時は「まぁ…みんな若いしな」って気にならなかったんだけど、「どうしてそうなる!」って言う思い。


ルスダンはなぜあんなにも愛している夫のことを信じない?なぜ彼の話を聞こうとしない?アヴァクはなぜあんなことする?ディミトリのことが気に食わないからってその立場の人間がやる行為かそれ?国のためと言うより、ただ「あいつムカつく」ってだけでやってるように見えるのは、彼の描き方が足りないのかしら?

それくらいディミトリがとにかく可哀想すぎて…涙。


それにしてもせおっちの「どっしり感」ってなんなのでしょうね。
めっちゃええとこで登場するしね。
背は高いけどスリムだし、あんなに美形なのに。いい意味でガサツな感じ?「漢」感?ガッハッハッハッハー!って笑うタイプの人物が似合いすぎて笑えます。


ちなみに「どうして!」って思うものの、アヴァクありちゃんの存在感、星組にビタっとはまってませんか?お一人加わったことで星組に新しい風が吹いてる気がすごくする。悪役ではないんだけど、拗らせてるありちゃん、新境地って感じで良い。ディミトリとルスダンをあんなことにしちゃって…ありちゃんだから許されるってとこある(?)。


ディミトリとルスダンは、ギオルギとバテシバのような「愛」を持っていたら、アヴァクにあんなことされても、また違う運命を辿っていたのかもしれないなぁ。
人望厚く愛された偉大な王、ギオルギと、宮廷で疎まれながらも王への愛を貫くバテシバ。お二人がとっても素敵。夫婦二人にしかわからない奥底で繋がっている強い絆と深い愛を、あかさん、くらっちが見事に表現されていて、物語にも深みを与えてた。
心身共に大きなあかさんが花組に戻っちゃうと星組は寂しくなっちゃうな。


アヴァク繋がり(?)で言うと、彼が蒔いた種「ミヘイル=極美君」なのがナイスキャスティングすぎた。
ここが、新公では正直あんまりだったんです。タマラ王女に興味を持たれたり懐かれたりするのも、子供のような奴隷がルスダンに…も、なんだか違和感があったんだけど、そっか!極美君ならしょうがない!(?)ってすごく納得できた。しかもこういう役を極美君がやるってのもなんだかとっても良かった。


全体を通しては、お衣装はどれも豪華で美しく見応えがあるし、リラの花の使い方、舞台の転換も効果的でとても綺麗な作品だと思いました。(私が観た時こっちゃんのお衣装がセットに引っかかった?っぽかった。どのお衣装も扱いが大変そう!)
ちなみにディミトリの足跡の癖ってのは原作でもポイントになってるのだろうか?その足跡のせいで二人の関係が壊れていく皮肉めいた演出が憎かったです(褒め)。

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